事例・モーダルシフトの推進と船舶輸送のニーズ

事例・モーダルシフトの推進と船舶輸送のニーズ

モーダルシフト推進の先に拡がる船舶輸送のニーズと可能性

鉄道貨物輸送に限定することなく、より的確な輸送モードをお客様に提供するためのスキーム構築

環境負荷の軽減や労働力不足の解消といった観点でモーダルシフト推進が拡がるなか、全国通運では輸送モードの多様化や鉄道貨物利用の過密による輸送障害の解消といった将来的なミッションにも着目。複数のフェリー会社と勉強会を実施するなど、自社のメインサービスである鉄道貨物輸送に限定することなく、より的確な輸送モードをお客様に提供するためのスキーム構築を進めている。

全国通運 公用営業部は、そうした背景と「鉄道輸送に並ぶ安定性」という利点を前提としたうえで、鉄道輸送障害が発生した際の代替輸送実施を例に輸送・供給のさらなる安定化における船舶輸送の有用性をこう提言している。

鉄道と船舶の両軸を視野に入れていただくことで、万一の障害発生時でも安定した供給が実現

「天候や災害などよる障害が起きた際、鉄道の場合は復旧に時間を要します。一方で船舶輸送は、台風や海上のコンディション次第で欠航してしまうことはあるものの、鉄道に比べて遅れや障害が目立たないという強みがあります。また、鉄道の輸送障害を船舶輸送でカバーした実績もあります。平成30年には、広島市で発生した土砂災害の影響により鉄道貨物輸送が困難であるとして、JR貨物からのご依頼を受け鉄道から船舶への積み替え輸送を実施しました。船舶輸送を有利に働かせるためには立地や輸送量など一定の条件が必須となりますが、鉄道と船舶の両軸を視野に入れていただくことで、万一の障害発生時でも安定した供給が実現するのではと考えています」

1オーダーごとに積港・揚港を設定できる内航船輸送

現在、全国通運 公用営業部ではホクレン農業協同組合連合会が管理する国内産小麦の船舶輸送を担当。499型内航船を用いた輸送で北海道の積港と本州にある10の揚港を結び、年20万トン規模で出荷される北海道産小麦の効率的かつ安定した供給を支えている。

「国内で消費される小麦のおよそ9割が輸入ということもあり、製粉会社様のほとんどが港に工場と保管用のサイロを構えていらっしゃいます。全国通運が小麦の輸送用に手配している499型内航船の最大積載量は1500t。5tコンテナで換算すると300個という膨大な数を一度で運べるというのが大きな利点です。一回の輸送で1500tを満たすのは難しい中小の企業様には、数社共同でご利用いただいています」「また、内航船を用いるもうひとつの利点として、フレキシブルな輸送ルートの設定が挙げられます。あらかじめ航路やスケジュールが確定しているフェリーに比べ、内航船の輸送は1オーダーごとに積港・揚港を設定することが可能です。網走から千葉の港へのピンポイント輸送や新島へのスポット輸送を手配した実績もあります。また、先ほど鉄道の輸送障害について触れましたが、コンテナの積み替えという点で応用がきくのも内航船の特徴といえるでしょう。現在当社で内航船の手配を担当しているのは小麦の輸送のみですが、厚板や鋼材など積み込み可能な荷物は多岐にわたります。なお、当社で小麦輸送用に手配している内航船は2隻。異物混入防止の観点から、鋼材等を扱う際には小麦輸送とは別の船舶を手配するようにしております」

モーダルシフトによって拡大する船舶輸送のさらなる可能性

国土交通省は、「今後『交通政策基本計画(平成27年2月13日閣議決定)』等に基づき、平成32年に平成24年度比で約1割増加に相当する 367億トンキロを目標として、さらなるモーダルシフト促進に向けた取組を加速させていく必要がある」とし、経済性・効率性に優れた特徴を有する内航船の活用を推し進めていく方針だ。全国通運では、長年の小麦の輸送で培ったノウハウを基により的確なサービスを提案するとともにモーダルシフトによって拡大する船舶輸送のさらなる可能性を探っていく。

荷主さまにメリットがあるのかという判断をふまえたうえで、ご要望に沿う船を手配

「新規でご相談いただいた際のプロセスとしては、コストや効率といった点で荷主さまにメリットがあるのかという判断をふまえたうえで、期日および輸送先などご要望に沿う船を手配させていただきます。一度書面でご依頼をいただければ、こちらで手配をかけることができますので、企業さまにそれ以上のご負担をおかけすることはありません。モーダルシフトの推進によって船舶輸送の利用率が高まることで、利便性の向上も期待されます。また、輸送障害をきっかけに鉄道から船舶へ輸送方法を移行なさったという実例もあり、船舶輸送のニーズは今後さらに高まっていくと予想しております」

●手配可能なフェリーおよび内航船の特徴・積載量の違い
<フェリー>
  1. ・スケジュールおよび航路があらかじめ確定している。
  2. ・基本的に20トン単位で輸送、内航船よりも規模が大きい。
  3. ・内航船よりも積載量が多いが、岸壁の水深によっては船を寄せることが出来ない。
<内航船>
  1. ・最大積載量は1500トン(ハコの部分は40×10×6)。
  2. ・航路が決まっているフェリーと比べ、1オーダーごとにスポット間での輸送が可能(条件あり)。
  3. ・フェリーよりも応用が効くが、フェリーより小さいため揺れも大きく波高2m以上で停泊する。
  1. フェリー内航船ともに鉄道に比べて障害が目立たない。
  2. ・船舶輸送の利用は、港付近に積み降ろしの工場があることが前提。内陸にいくほどコストがかかってしまうので利用メリットがなくなってしまう。
●小麦輸送までのプロセス
  1. ・北海道産小麦の収穫は毎年7~8月。保管するのが農協のサイロ(フレコンに入れる場合も)。
  2. ・積出港は網走・十勝など4港がメイン。十勝には出港の予定が常にあるので保管サイロがある。
  3. ・20t以上積めるトラックでサイロから小麦を運ぶ。製粉会社から1500t注文(オーダー)をいただく。「ホクレンから〇〇の農協から何t、〇〇へ何t」という表(倉割表と荷渡指図書)をもらう。
  4. ・農協に全通から近辺の代理店に集荷を依頼、荷物を集めてもらう(1日多くて約300t)。
  5. ・船が用意できたら一日で荷積み。十勝から京浜あたりまでは中2日。大阪だと中3日。大抵2日後の夜に到着するので、小麦の場合は翌朝から吸い上げてもらう。
    (鉄道とフェリーでは鉄道の方が若干速い。ただ輸送量によっては海上輸送の方がコスト○)

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